4月2日の日本市場で意識されたのは、トランプ大統領の演説が安心材料ではなく、不透明感の再確認として受け止められたことです。ロイターによると、トランプ氏は4月1日夜の演説で、イランとの戦争における「中核的な戦略目標」がほぼ達成されつつあると述べた一方、今後2-3週間で極めて厳しい攻撃を加える考えも示しました。これにより、市場が一時期待していた停戦シナリオは後退し、リスクオフの空気が強まりました。
今回の演説が株価に与えた影響を一言でいえば、「停戦期待のはく落による再警戒」です。SMBC信託銀行の山口氏は、事前に高まっていた停戦期待がはがれ、日経平均はマイナスに転じたと指摘しています。さらに、演説後の原油先物上昇も日本株の重しになったとみられており、相場は単なる地政学ニュースではなく、企業収益や景気への波及まで意識し始めています。
特に日本株にとって重いのは、原油高が企業コストを押し上げる点です。中東情勢の長期化懸念が強まれば、輸入エネルギー価格の上昇を通じて、物流、素材、化学、外食、空運など幅広い業種に逆風となります。日本は中東依存度が高く、ホルムズ海峡の安定回復が見通しにくい限り、株式市場は安心して上を買いに行きにくい地合いが続きそうです。チャタムハウスの玉木氏も、今回の演説から石油や石油製品の出荷がスムーズになるとは思えず、米株先物の下落など市場では長期化懸念が広がっているとみています。
為替市場でも、有事のドル買い圧力が意識されています。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野氏は、完全な撤退表明や一方的な勝利宣言がなかったことで、有事のドル買い圧力が数週間続く可能性があるとみています。原油高が続けば日本の貿易赤字拡大観測も重なり、ドル円が160円方向を試す展開も警戒されています。円安は一部輸出株にはプラスですが、今回は景気不安を伴うため、単純な追い風にはなりにくい局面です。
ただし、全面的な悲観一色というわけでもありません。りそなアセットマネジメントの戸田氏は、演説内容に新味はなく、強気で過激なメッセージもある意味では想定内だとしています。そのため、戻り売りに押される一方で、下値では押し目買いも入っているとのことです。実際、市場では5万円近辺が日経平均の心理的な下値メドとして意識されているようです。
今回の演説を踏まえると、今のマーケットは「最悪シナリオを完全に織り込んだ」とまでは言えず、続報に大きく振られやすい状態です。注目点は3つあります。原油価格がさらに上昇するか、ドル円が160円方向を試すか、そして中東情勢に本当に緩和の兆しが見えるのか。この3点がそろわない限り、日本株は戻っても上値の重い展開が続きやすいとみておいたほうがよさそうです。
